ウェビナー参加者の7割が「覚えてなかった」!?AI推進を停滞させる“当事者不在”とその突破口とは
公開日:2026.07.31
7割が「覚えていない」。架電で見えた当事者不在の現実
初めまして!Acompanyのブランド&マーケティング部に所属するつかでぃと申します。
担当領域の一つに、オンラインのウェビナーや登壇に関する施策があります。
Acompanyでは、2026年1月30日に「Confidential AI Suite(以下、CAS)」というサービス群を正式リリースしました。その第一弾として提供しているのが、『秘密を守れるAI』をコンセプトにした“Acompany セキュアチャット”です。ひとことで言えば、機密情報だから、とAIに入力できなかったデータを、安全に使えるようにするサービスです(詳しい仕組みは後半でご紹介します)。
(サービス資料はこちらで入手できます)
この四半期、ウェビナーでも皆様にこのサービスのご紹介をしてきました。「もっとこんな業務にAIを使いたいな」「こんな風にAIを使えたらいいのにな」のうちの一つを実現できるサービスとして皆様にもご好評いただき、ありがたいことに、この期間で開催したウェビナーでは数百名(!)もの方々にお申し込みいただくことができました。世の中の皆様の「これやりたい」に少しでも役立てそうかな、Acompanyのサービスについて知ってもらえたかな、と、ウェビナー担当としては集客成功!と思っていました。
しかし。しかしです。
ウェビナー終了後、インサイドセールスから電話で感触などをお聞きすると、その約7割が「内容を覚えてなかった」という衝撃の結果でした……😱
補足として、当日の内容を再度お伝えすると、「あのセミナーか!」「内容はよかった」「またセミナーがあるなら視聴したい」といったお声もいただきました。つまり、ウェビナーのテーマ自体がミスマッチだったわけではなさそうです。
しかしながら、ウェビナー担当としては穏やかではありません。聞きたいからお申し込みくださったはずなのに。興味があったからご参加くださったはずなのに。なぜ!? と思い、追加でヒアリングをしていくと、「自分の担当業務として検討している」というよりも、「まずは情報収集として参加した」「個人的に関心があって参加した」という方が少なくないことがわかりました。
これは、関心がないという話ではないなと思いました。むしろ逆で、AIへの関心は高い。必要性も感じている。それでも、誰が旗を振り、どこまで踏み込んでよいのかが曖昧なまま、AI活用を『自分ごと』にするのが難しい。
ここに、現在のAI活用における“ねじれ”を感じざるを得ませんでした。
聞きたい人はいる。けれど、決める人が場にいない。この“ねじれ”の正体を掘っていくと、多くの企業が陥っている構造的な分断に行き当たりました。
ボールを持ちにくい分断と、既存AIが定着しないペイン
お話を伺ううち、この『当事者不在』の背景の一つに、社内の分断があるなと思いました。
当ブログをご覧の皆様にはおなじみの話かもしれませんが、組織が大きくなればなるほど役割が細分化され、縦割り構造になることが多くなります。
AIを使いたい現場や推進したい部門としては「ルールはガバナンスに詳しい部署に決めてもらった方が正確だろう」と考え、逆にガバナンスを管轄する、いわゆる情シスや法務といった部門では「業務適用は実際に活用する部署や推進部署に決めてもらった方が回りやすいだろう」と考え、つまりお互いの専門性を尊重し合うがゆえに、主体的にボールを持ちにくい状況が発生しているようでした。
さらに、どうもこの罠はすでにAIを導入した企業ほど深くハマってしまうのが厄介なようです。
せっかく導入したAIだから、活用したい。
けれど、現場の全運用に即して細部までルールを作るのは現実的ではない。(これは法律なんかも典型ですよね)
特に、生成AIの業務活用については、多くの組織でまだ標準解が固まりきっていません。
つまり、現場の運用はある程度柔軟に、リスクも全て自己判断してアクセルを踏むか、あるいは「誰かがルールを決めるまで、」「誰かがルールを決めた時にスッと従えるように、」自主学習で備えるか。
その結果、特に「これ入れていいんだっけ」と悩む人ほど、業務インパクトの大きい機密データを前に手が止まってしまう。
たとえば、休職や退職面談の議事録。「この面談メモ、AIでまとめたら楽だろうな」と思っても、(いや、これはさすがに入れちゃダメだろ……)と、思いとどまり、そっとタブを閉じる。人事や労務の方に限らず、誰にでも想像が及ぶのではないでしょうか。
AI推進をしたい部署の方としては、かなり困った停滞期、とも言えそうです。
他方、この『ボールを持ちにくいので業務にAIを適用できない』状況とは裏腹に、水面下で別の事態も進行していることがあります。
先ほど書いたリスク判断を個人で抱えたまま、アクセルを踏んでしまうケース。つまり、「“会社の機密データ、AIに入れてもいい?”って社内の誰かに聞いたら、絶対にだめ! って言われそう。一旦機密データもAIに入れちゃおう」という人も……。
実際、BlackFog / Sapio Researchの調査では、未承認AIツールを業務で利用している従業員が49%、(研究データ等を含む最多カテゴリで)機密データを未承認AIに共有済みの従業員が33%という結果も出ています。
※BlackFog / Sapio Research調査(2025年11月に実施した調査。英国・米国の従業員計2,000名が対象。回答者は従業員500名超の企業に所属)

つまり、『当事者不在』は単なる静かな停滞ではなく、シャドーAIという実害にも直結しうる事態なんです。
人依存のルール運用”を、技術統制と選択肢で突破する
とはいえ、この分断を解決するために、誰かが『完璧なガバナンスルール(何をもって“完璧”と定義するかですが……)』を作り、都度調整して社内を駆け回るような……と、私も書きながらお腹いっぱいになっちゃってますが、人のリテラシーと運用努力に依存したアプローチはもはやどこであっても限界を迎えているのではないでしょうか。
そこで、そもそも機密データをAIに入力しても、安全に扱える環境を技術でつくってしまう。そして、すべてのデータを一律に扱うのではなく、業務やデータの性質に応じて、安全な使い方を選べるようにする。というのが、Acompanyの提案です。
Acompany セキュアチャットでは、機密データを生成に利用する/しないによって、2つのアプローチを選べます。
1つは、データを外部のAI開発元に送らず、保護された環境内でAI処理を完結させるプライベートモード。
もう1つは、機密情報・個人情報を自動で検知し、外部AIに渡る前に記号に置き換えるマスキングモードです。
1.安全なAI活用を支える土台/Confidential Computing
このブログに辿り着いたということはご存じかもしれませんが、実はAcompanyは「Confidential Computing(機密コンピューティング)」に関連した製品・技術を提供したり、機密データ活用に関するコンサルティングサービスを提供している企業なんです。
Confidential Computingは、データの『保存時』『転送時』だけでなく、処理中の「利用中(in-use)」も秘匿して扱える技術です。展示会などでは、よく“誰にも中身を見られない金庫の中でデータを処理する”ようなイメージで説明することも多いです。
そしてこのConfidential Computingは、Acompany セキュアチャットそのものを支える基盤です。後述する2つのモードのどちらを使う場合でも、お客様の生データを扱う処理はこの保護環境の中で行われます。だからこそ、Acompanyの社員やクラウド事業者ですら、お客様の生データを閲覧できません。
ちなみに、このConfidential Computing、いまAIセキュリティ領域でとても注目が高まっている技術です。Gartnerも2026年の戦略的テクノロジートレンドの一つとして取り上げ、2029年までに、信頼されていないインフラで処理されるオペレーションの75%以上が、Confidential Computingによってデータ使用中も保護されるようになる、と予測しています。
( https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20251029-techtrends )
Acompanyも2026年6月にサンフランシスコで開催されたConfidential Computing Summit 2026にゴールドスポンサーとして参加・登壇しました。詳しくは登壇レポートでも紹介しています。
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2.データの使い方に応じて選ぶ/2つのモード
その上で、セキュアチャットには、データの使い方に応じて選べる2つのモードがあります。ポイントは、機密データそのものをAIの生成に使う必要があるかどうかです。
2-1. 原文をそのまま使いたい場合/プライベートモード
お客様のデータを外部のAI開発元に送信せず、独立した保護環境内のみでAI処理を完結させるモードです。
冒頭で「詳しい仕組みは後半で」とお伝えしていた、“入れられなかったデータを使える”の正体がこちらというわけなんです。
たとえば、社内の財務データを取り込んで傾向分析や次年度の事業計画づくりに活用する。あるいは、人事情報や社内議事録のように、伏せ字にしてしまうと文脈が失われるデータを、そのままAIに読み込ませて分析する。
こうした『入れたいけれど、マスキングすると使いづらいデータ』を、AI活用の対象にしやすくなるのがプライベートモードなんです!
2-2. 機密を伏せても目的を達成できる場合/マスキングモード
一方で、すべての業務でプライベートモードを使う必要があるわけではありません。機密箇所そのものをAIの生成に使わなくてもよい業務では、マスキングモードが有効です。
これは、機密情報や個人情報をAIが自動で検知し、外部AIに渡る前に記号へ置き換える仕組みです。この置き換え処理も、Confidential Computingによる保護環境内で行われます。外部の高性能AIを活用しながら、機微情報そのものは外に出さない。そんな使い方ができます。
このマスキングという考え方は、すでにイメージしやすい方も多いかもしれません。Acompany セキュアチャットでは、これをAI利用の入口に組み込み、ユーザーの判断に依存しない形で実行できるようにしています。
- 文脈を理解する高精度検知で、たとえば文中にある“田中さん(人名)”と“田中製麺(企業名)”とを区別できます。
- 企業固有のプロジェクト名や社内用語を登録し、検知精度をさらに向上させることも可能です。
- 入力と同時にマスキング処理を実行するので、業務効率をほとんど損なわずに利用できます。
原文の情報をそのまま踏まえた回答が必要な場合はプライベートモード。機密部分を伏せても業務目的を達成できる場合はマスキングモード。と、いうように、「何をAIに考えてもらいたいのか」に応じて、安全なルートを選べます。
3.選択肢を持つ/複数AIの切り替え
もう一つ、AI推進担当者にとって重要なのが『選択肢を持てること』です。
と、いうのも、すでにAIを導入している企業ほど「今の1社に全部を預けてしまって大丈夫だろうか」という別の不安も出てきますよね。急な値上げや仕様変更があっても乗り換えづらい、業務や部署によって本当は最適なモデルを選び分けたいのにできない——いわゆる“ベンダーロックイン”の悩みです。
実は Acompany セキュアチャットは、複数の高性能AIを1画面でシームレスに切り替えられる環境でもあります。常に用途に合ったモデルを選べるうえ、個別契約を集約することでコストを最適化でき、特定ベンダーに縛られるリスクも抑えやすくなります!
9/1『Trust2026』で、AI活用を前に進める実践知を
などとここまでつらつら書いてしまったのですが、「結局他社はどうしてるの?」「ガバナンスとの辻褄、どう合わせるの?」「社内でどう説得すればいい?」など、おそらく悩みは尽きない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は再来月、東京都内にある浅草橋ヒューリックホール&カンファレンスで【2026年9月1日(火)】に500名規模の『Trust2026』というカンファレンスを開催するんです👏
カンファレンスでは、AI・データを安心して使うための基盤を担う富士通株式会社、さくらインターネット株式会社をはじめ、業界を牽引する著名なゲストが登壇予定です。
詳しくはこちら
2026年9月1日(火)13:00–18:30(受付開始:12:30)
サブセッションでは、まさに今ご紹介したAcompany セキュアチャットをはじめとするCAS製品を使ったサービスやユースケースなどもお披露目する予定です!
当日のオンラインライブ配信や、後日のアーカイブ配信は今のところ予定なし。当日、ここだけの濃い内容をお届けします。
AI推進担当者の皆様必見の内容となっていますので、お近くの方はぜひ当日足を運んでみてください。ブログやWeb記事だけでは伝えきれない、導入時のリアルな論点や社内合意形成のポイントも、当日だからこそお話しできる内容としてお届けできればと思っています。
入力された情報は学習には使われませんが、念のため個人情報の入力はお控えください。

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