Confidential AIの市場をつくる。五十嵐が描く、次世代セールス組織

公開日:2026.09.16

IBMやマカフィー、Dellなどの事業立ち上げやCountry Managerを経験してきた五十嵐さん。外資セールスの第一線を歩んできた彼が次の挑戦に選んだのはAcompanyでした。

なぜ今、日本のスタートアップを選んだのか。これからセールス組織を拡大し、売上を急成長させていく中で、どのような戦略を描いているのかを聞きました。

【プロフィール】

五十嵐 修平(Syuhei Igarashi):執行役員 VP of Business Development

大学卒業後、日本IBMに入社。インターネット黎明期においてeビジネス関連事業の立ち上げや大手電機メーカーの事業構造改革プロジェクトに従事。その後、マカフィー(インテルセキュリティ)にて営業チームを牽引し大手ITベンダーの基盤刷新を達成。SAP(SaaS事業)、Splunkを経て、Cyfirm(サイファーマ)の日本法人立ち上げに参画。Country Managerとして売上を4年半で10億円規模へと急成長させる。Dell Technologiesでの組織マネジメントを経て、Acompanyへ参画。執行役員 VP of Business Developmentとして、Confidential AIおよびConfidential Computingの市場開拓・事業成長を統括。

黎明期から業界を牽引してきたキャリアと、大切にしてきた「軸」

ー 日本IBMから始まり、マカフィーやCyfirmなど数々の実績を上げられてきましたが、これまでのキャリアで一貫して大切にされてきたことは何でしょうか?

五十嵐: 一言で言えば、「自分の中に『幹(核)』を作ること」です。私は若いメンバーと話す時、「幹がない状態で環境をコロコロ変えても、戻る場所がなくなってしまうよ」と伝えています。

私にとっての幹は、社会人最初の15年間を過ごした日本IBM時代に作られました。当時のIBMはインターネット黎明期で、eビジネスという概念を日本に広げるために700人以上の同期を一括採用した世代です。私は法学部出身でパソコンオタクだったわけではありませんが、講義でネット上のトラブルや法規制に触れるうちに「これからインターネットがビジネスを根底から変える」と感じて飛び込みました。

IBM時代の8年目頃、当時競合でありながら業績に苦しんでいた大手電機メーカー様を担当しました。そこで私は「IBMが世界で実行してきた事業構造改革のノウハウを、御社の改革に活かしませんか」と提案し、米本社のCEOまで巻き込んだ10年がかりの全社改革プロジェクトを立ち上げました。当時は「競合に塩を送るのか」と言われ、最初は数字も小さく苦労しましたが、日本のレジェンド企業が変革していく歴史的瞬間を間近で見られたこと、そしてクライアントの社長や役員の方々が一営業の私に腰低く頭を下げて感謝してくださる姿から、「経営層の視座とは何か」を骨の底まで学びました。

その後、35歳の時に業界のリストラを見て「50代になった時に、どこでも求められる人間になろう」と決意し、マカフィー(旧Intel Security)へ移りました。そこでは日本の大手企業様のセキュリティ基盤を全面刷新するような成果を上げ、その後のCyfirmではCountry Managerとして、まだプロダクトのない「コンセプト段階」から4年半で売上10億円規模へと事業を育て上げました。

外資、スタートアップ、SaaS、セキュリティ、データ分析と環境を変えてもコミットし続けられたのは、IBM時代に培った「顧客の経営課題を構造的に理解し、本質的な改革を提案する視点」という強い幹があったからこそだと思っています。

ー 外資系に残ってキャリアを歩む選択肢があった中で、スタートアップを選択肢に入れた背景はなんだったのでしょうか?

五十嵐: 50代・60代を迎えた時の自分を想像した時、ふと思ったんです。「大企業の元役員」みたいな名前や肩書だけが残る人生って、自分にとって本当に面白いのかな、と。35歳でIBMから飛び出した時も同じでした。大組織の看板に守られるのではなく、「自分個人として何ができるのか」「どこに行っても買われる経験を持っているか」をずっと大事にしてきたんです。

自分の残された時間(タイム・キャピタル)をどこに投資するかと考えた時、行き着いたのが「日本のスタートアップを成功させて、日本経済の新陳代謝を起こすこと」でした。今の日本は、大企業の中に金銭やデータ、優秀な人材が留まってしまっていて、新陳代謝が起きづらい。そこを打破できるのがスタートアップであり、自分がこれまでセールスパーソンのキャリアで培ってきた「GTM(Go-To-Market)の知見」を注ぎ込むべき場所だと思っていました。

ー さまざまな選択肢があった中で、Acompanyを選んだ一番の決め手は何だったのですか?

五十嵐: 一番の決め手は「カルチャー」、そして「CEO高橋の姿勢」です。

過去にCYFIRMAでゼロから組織を作った際、私が最も苦労したのが「カルチャーの言語化と浸透」でした。多くのスタートアップは日々の売上作りに追われ、カルチャー作りに時間を割けません。しかしAcompanyは、高橋自らが深くコミットし、「オーナーシップを明確にする」「Goodではなく、Greatを狙う」といった行動指針を非常に高い解像度で言語化していました。面接で話した時、私が30年の営業経験で「一番大事だ」と行き着いた価値観と、Acompanyのカルチャーが寸分違わず重なっていたことに心底驚いたんです。

また、CEOの高橋は非常にスマートでクレバーでありながら、自社だけに閉じず「市場全体や政府、パートナーを巻き込んで一緒に業界を作っていく共創の姿勢」を持っていました。単に「自社のプロダクトを売りたい」というエゴではなく、社会全体にとって何が正しいかを客観的に捉えている。このCEOとなら、日本のデータセキュリティやAI活用のインフラを本当に作れると感じました。

入社数ヶ月で感じているマーケットの熱気と「顧客のリアル」

ー 実際に入社されて数ヶ月が経ちましたが、現場で感じる市場の手ごたえはいかがですか?

五十嵐: 良い意味で、想像をはるかに超える「市場のモメンタム(勢い)」を感じています。入社前は「難解な技術だし、市場に啓蒙するのに苦労するだろうな」と思っていたのですが、現場で政府機関や民間企業、そしてIT事業者の方達とお話しすると、向こうから「まさにこういう技術を使ってインフラを作りたい」「アーキテクチャを教えてほしい」と具体的に言っていただけます。

30年営業をやってきましたが、ここまで市場側が待ち望んでいて「打てば響く」状態は滅多にありません。商談を行うお客様の約7割が「この技術は自社に絶対に必要だ」と最初から理解してくださっています。

それほど強いニーズがありながら普及しきっていない理由は2つあります。1つ目は、Confidential Computing(以下、CC)が従来の延長線上にない新しい概念であり、お客様自身もどう組み込むべきかを模索されていること。そして2つ目は、「私たちが顧客に届けるためのリソースとGTMの仕組みが圧倒的に足りていないこと」です。

Fortune Business Insightsの最新予測では、CC市場は2034年に4,600億ドルを超える規模に達し、2026年から2034年にかけて年平均34.7%で成長すると予測されています。

市場は今後も大きく拡大していくことが見込まれています。市場には巨大なマグマが溜まっているのに、それを届ける営業組織のキャパシティが追いついていない。だからこそ今、セールス組織を急拡大する必要があるんです。

「新しいセールス組織」の追求が顧客の提供価値向上につながる

ー 採用計画としてこの半年でセールス組織を5名から20名へ急拡大させると聞きました。どのような営業組織・モデルを作ろうとされているのでしょうか?

五十嵐: ただ人を4倍にして足で稼ぐような組織を作るつもりはありません。私たちが挑むのは、「ザ・モデル(The Model)」の次を行く、新しい時代の営業モデルの構築です。

ザ・モデルは、マーケティングやセールスを分業化し、すでに存在する市場のパイを効率的に獲得する優れたフレームワークです。しかし、Acompanyのように「まだ世の中にない市場を創出しながらプロダクトをPMFさせていくフェーズ」では、画一的な分業モデルは機能しません。バトンタッチ型の営業ではなく、顧客の課題を深掘りして市場やルールそのものを共創していくアプローチが必要です。

もう1つ大切なのが、「生成AIを徹底活用した圧倒的な生産性向上」です。私たちは技術オリエンテッドな会社ですから、Dellで学んだ高度なプロセスマネジメントと最新の生成AIツールを組み合わせます。社内でも自社プロダクトの「Acompany セキュアチャット」を全社員が使い倒し、リサーチや資料作成、議事録要約などを自動化しています。

営業パーソンが事務作業に使う時間を限りなくゼロに近づけ、「顧客と直接向き合い、信頼を構築し、本質的な課題を引き出す」という人間にしかできない最重要業務に100%の時間を集中させる。人手だけに頼らず「人 × AI」で営業一人あたりの成果を何倍にも高める。この新しいGTMモデルを自社で実証し完成させること自体が、お客様に対する最高のソリューション提案になると考えています。

最後に新しく参画するビジネスポジションのメンバーがぶつかる「課題や壁」、そしてそれを乗り越えた先に得られる成長について教えてください。

五十嵐: 参画していただく方には、リアルに「3つの壁」が待っています。1つ目は「技術や法規制の専門性の高さ」、2つ目は前例のない「市場創出型の商談プロセス」、3つ目は自分が売ったノウハウを仕組み化する「個人商店からの脱却」です。

CCやAIのドメインは目まぐるしく変化していきます。技術や世の中の変化をキャッチアップし続けるのは大変です。急速に立ち上がっていく市場で、強い競合とも戦う必要がある。率直に痺れる環境だと思います。

ただし、これらを一人で背負い込む必要はありません。私をはじめとする経験豊かなメンバーが併走しますし、社内には知見が惜しみなく共有されるカルチャーがあります。この壁を乗り越えた時、得られるものは単なる売上実績ではありません。「新しい市場をゼロから作り上げた」という自信、そして「AI時代の最新GTMモデルを自ら構築した」という、市場価値が極めて高い一生モノのキャリアです。

私たちが目指しているのは、CCやConfidential AIがHTTPSのように、誰もが意識せず使う社会基盤になる未来です。自らの手で新しい市場を開拓し、日本の産業に新陳代謝を起こしたい。そんな熱い野心を持った方と、一緒に働けることを楽しみにしています。ぜひ、カジュアル面談でお話ししましょう!

Ryo Tatsuishi のプロフィール画像

WRITER

Ryo Tatsuishi

Acompany / Senior Talent Aquisition

会社全体の組織づくり、採用を担当

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