AIプロダクトを作る会社は、社内でAIをどう活用しているのか
公開日:2026.07.22
AcompanyのAI活用推進委員会のすえたけです。
生成AIの業務活用が広がる中、多くの企業で「AIをどう使うか」「どう全社に浸透させるか」が重要なテーマになっています。
一方で、AIツールを導入しただけでは、業務活用はなかなか広がりません。
一部の人だけが使いこなしている状態にとどまったり、便利そうだとは思いながらも日々の業務に組み込めなかったりすることもあります。
Acompanyは、AIプロダクトを開発・提供する会社として、自分たち自身もAIを当たり前に使いこなし、業務を進化させ続ける組織でありたいと考えています。
そのために、2025年11月21日に発足したのが「AI活用推進委員会」です。
私たちは、「全社員が当たり前のようにAIを活用し、業務効率を向上し続けている状態をつくる」ことをミッションに掲げています。
本記事では、委員会がこれまでどのように全社のAI活用を推進してきたのか、そして現在どのような取り組みを進めているのかをご紹介します。
AI活用を、一部の人だけのものにしない
AI活用推進委員会が大切にしているのは、AI活用を一部の詳しい人だけの取り組みにしないことです。
Acompanyには、エンジニアだけでなく、営業、コーポレート、マーケティング、採用など、さまざまな職種のメンバーがいます。職種によって業務内容も、AIとの距離感も異なります。
だからこそ、全社へ浸透させるためには、単にツールを導入するだけではなく、誰もが使い始められるきっかけや、活用事例を共有する仕組みが必要でした。
委員会では、AIに詳しいメンバーが中心となり、全社員が日々の業務の中でAIを自然に使える状態を目指して、学び・実践・共有の場づくりに取り組んできました。
全社OKRとして挑戦した「Gemini活用180件」
委員会発足後、最初に大きく取り組んだのが、Geminiを活用した業務効率化です。
この取り組みは全社OKRとして設定され、当時約60名いた全社員が1人3件、Geminiを活用した業務効率化事例を作成し、全社で180件を達成することを目標に掲げました。
活用方法の一つとして推進したのが、Geminiの「Gem」です。Gemは、よく使うプロンプトや知識を登録し、用途に合わせた自分専用のAIアシスタントを作成できる機能です。
当時は、Gemを作ったことがない社員も多くいました。そこで委員会では、初心者向けのGem勉強会を開催しました。
「勉強会が終わる頃には、自分専用のGemを1つ作れるようになる」ことをゴールに、基礎知識を学ぶだけでなく、実際にGemを作るワークショップも行いました。

また、作成したGemやGeminiを使った成果物をSlackで共有する仕組みを整え、個人の工夫が個人の中だけで閉じないようにしました。さらに、毎週全社員が集まる全体MTGでは、特に良い活用事例をピックアップし、全社に展開しました。
これにより、誰かの工夫が別の誰かの業務改善に繋がる流れが生まれていきました。
結果として、全社で180件の目標を達成することができました。
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ただし、この取り組みの目的は、Geminiの活用件数を増やすことではありません。
本当に目指していたのは、社員一人ひとりが自分の業務に向き合い、「ここにAIを使えないか」と考える習慣を作ることです。
取り組みを通じて、AIに詳しい一部のメンバーだけでなく、さまざまな職種の社員が、自分たちの業務の中にAI活用の可能性を見つけるようになりました。180件という結果以上に、こうしたマインドの変化こそが、この全社OKRで生まれた大きな成果です。
「面白そう」が生んだ、AI活用のもう一つの入り口
AI活用を全社に広げていく上で、重要だったのは業務効率化だけではありませんでした。
「便利だから使う」という理由だけでは、AIに苦手意識を持つ人や、日々の業務でAIを使う必要性をまだ感じていない人には、なかなか届きません。AI活用を本当の意味で全社に浸透させるには、「なんだか面白そう」「自分も触ってみたい」と思える、遊び心のある入り口も必要でした。
その象徴となったのが、ある社員が個人的な興味から作った、占いをベースにしたGemです。

このGemは、業務効率化に直結するものではありません。しかし、多くの社員が実際に使ってみて、占いを楽しみながらGemに触れるきっかけになりました。「試しに使ってみたら面白かった」という体験が社内で自然と共有され、AIやGemに対する心理的なハードルを下げることに繋がりました。
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四半期に一度、全社員が集まる「OKR DAY」では、Gemini活用の取り組みの中で、社内に最もムーブメントを起こしたメンバーを表彰しました。
選ばれたのは、このGemを作成したコーポレート部門のメンバーです。Geminiを使った業務効率化に地道に取り組んできたことに加え、そこから生まれた遊び心が多くの社員を巻き込み、AIに触れるきっかけをつくったことが評価されました。
賞品として贈られたのは、Claude Codeを3か月間プライベートで利用できるギフトです。「業務だけでなく、個人の興味や探究の中でもAIに触れてほしい」という思いも込めた、Acompanyらしい表彰となりました。
業務効率化だけでなく、「まず触ってみる」と思える入口をつくれたことも、AI活用を全社へ広げる上で大きな意味がありました。
AI活用は、各部門の実践へ広がっている
営業部では、AIを活用した営業事務作業の自動化が進んでおり、業務効率を大きく向上させる事例も生まれています。
こうした取り組みは、月に一度の出社推奨日に開催している全社会「オールハンズ」で、「営業部のAI活用自慢会」として発表してもらいました。実際の活用方法や成果を全社員へ共有することで、「こんな使い方もできるんだ」という気づきが生まれ、他部署でのAI活用にも繋がっています。
営業部の具体的な取り組みについては、後日インタビュー記事として詳しくご紹介する予定です。
一方、コーポレート部門では、AI活用推進委員会が各業務をヒアリングしながら、AIを組み込める業務を見つけ、具体的な活用方法の設計まで支援しています。
部署ごとに業務内容や抱えている課題は異なるため、同じAIツールを導入するだけでは、必ずしも活用には繋がりません。現場の業務を理解し、それぞれの課題に合った形でAIを組み込むことを大切にしています。
また、自社プロダクトである「Acompany セキュアチャット」の社内活用も進んでいます。
プロダクト部門では、社内利用の活性化を目的に、毎週の全体MTGで利用者ランキングを発表したり、具体的なユースケースを紹介したりしています。
プロダクトを提供するだけでなく、社員自身が日々の業務で使うことで、実践的なユースケースも少しずつ増えています。
次のステップは「AIスタジオ」を活用した業務の自動化
Gemini活用180件を通じて、「AIを使う」文化は社内に広がりました。
その勢いを受けて、次に踏み出したのが「Claude」の全社利用解禁です。
ちょうどその頃、エンジニア以外の職種でも、Claude CodeやCoworkを活用し、AIエージェントに指示を出しながら仕事を進める「Vibe Working」という働き方が広がり始めていました。
この流れも後押しとなり、Acompanyでもエンジニアに限らず全部署からClaude Code・Coworkの利用申請が寄せられ、社内でのAIエージェント活用は一気に加速しました。
一方で、利用が急速に広がったことで、これまで想定していなかった課題も見えてきました。
- 外部公開されているMCP(AIエージェントと外部サービスをつなぐ仕組み)を安易に接続しようとしてしまう
- エージェントの提案どおりにサーバーを立てようとした結果、クラウドサービスの利用申請が相次ぐ
- API Keyの発行依頼や管理負荷が急増する
- API Keyが適切に管理されず、共有されるリスクが生まれる
- ノウハウの共有が追いつかず、各部署で個別にオンボーディングが必要になる
- Cowork特有のホスト環境とサンドボックス環境の違いにより、セットアップで混乱が生じる
AI活用をさらに広げるには、まず安全に使い続けられる環境を整える必要がありました。
そこで立ち上げたのが、社内AIエージェント構築基盤「AIスタジオ」です。
AIスタジオは、AIエージェントを安全かつ継続的に業務へ組み込むための基盤です。Google WorkspaceやSlack、Notion、GitHubなど、さまざまなツールと連携したエージェントを作成できるほか、ブラウザ上だけでなくSlackからも利用できます。
また、エージェントとの会話の中で指示を出すだけで、その内容に合わせて動作や設定を更新できることも特徴です。
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例えば、Googleカレンダーと連携したエージェントでは、Slackから「今日の予定を教えて」と話しかけるだけで予定を取得できます。
さらに、「平日の朝8時に毎日予定を投稿して」と伝えると、その内容に合わせてエージェントの設定を更新し、定期的に予定を通知するようになります。
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AIスタジオは、日々の業務支援だけでなく、プロダクト開発にも組み込まれています。
例えば、Acompany セキュアチャットへのフィードバックをSlackでエージェントに伝えると、内容を整理した上でGitHub Issueを作成し、Notionの管理データベースにも登録します。情報が不足している場合は、その場で必要な内容を確認し、回答を反映してIssueを更新するところまで支援します。Slack上で受け付けたフィードバックを、GitHub IssueやNotionへ自動で連携します。
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開発現場でAIをどのように活用しているのかについては、後日あらためて記事で詳しくご紹介する予定です。
実は、このアカンブログの記事レビューにもAIスタジオを活用しています。
これまでは、記事本文をAIツールにコピー&ペーストし、チェックしたい内容をその都度指示する必要がありました。現在は、Notionに書いた記事のリンクをSlack上で呼び出したレビューエージェント(vibes-review)に送るだけで、文章表現や表記ルール、記事内のリンクなどを事前に確認できます。

このように、AIスタジオを全社で活用し、AIをチャット相手として使うだけでなく、日々の業務プロセスに組み込むことで、それぞれの現場から業務の自動化が生まれる状態を目指しています。
AI活用を、全社の当たり前に
AIプロダクトを開発・提供する会社だからこそ、まずは自分たち自身がAIを使いこなし、そこで得た知見をプロダクトの改善やお客様への価値に還元していくことが重要だと考えています。
AI活用推進委員会では、AIを使い始めるきっかけづくりや、各部門で生まれた事例の共有、業務への導入支援を通じて、その実践を全社へ広げてきました。
私たちは、AIを単に人の仕事を置き換えるものとは捉えていません。限られた人の時間を、より大きな価値を生み出す仕事に充てられるようにすることが、AI活用の目的です。そのため、活用を後押しする「攻め」と、ガバナンスやセキュリティを担保する「守り」の両立を大切にしています。AIスタジオも、AI活用を止めることなく、安全に広げていくための取り組みの一つです。
現在は、事業目標の一つとして「一人当たり売上高の2倍」を掲げています。今後も、会社全体の業務を事業の視点から見直し、AIによってより良くできる部分を一つずつ形にしていきます。
AI活用を一部の人だけのものにせず、全社員にとって当たり前のものにする。その先に、社員一人ひとりがAIを使いながら、これまで以上の価値を生み出せる組織をつくっていきます。
入力された情報は学習には使われませんが、念のため個人情報の入力はお控えください。




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