大切にしたい価値観を、組織で使える言葉にする
公開日:2026.05.01
Acompanyがどこへ向かい、何を大切にし、どのように判断し行動していくのかをまとめた「Acompany Vector」を公開しました。
まずは、ぜひこちらをご覧ください。
▼ Acompany Vector
この記事では、この「Acompany Vector」ができるまでの背景や、カルチャー委員会での議論、そして決まった言葉を会社の中で生きる言葉にしていくために、どのような編集と設計を行ったのかを振り返ります。
カルチャーは、会社のOSである
Acompanyは、「非連続な未来を創る、圧倒的に。」をPurposeに掲げ、2035年までに世界No.1のプライバシーテックカンパニーになることを本気で目指しています。
そのような大きく、不確実な未来に向かう中で、すべてをルールや指示で決めることはできません。だからこそ、一人ひとりが日々の判断や行動の中で立ち返れる共通の考え方が必要になります。
そのためAcompanyでは、カルチャーを単なる雰囲気や価値観の共有ではなく、会社の考え方や動き方の軸となり、日々の判断や行動に作用するOSだと捉えています。
日々どんな行動が選ばれ、その結果として何が許され、何が歓迎されているのか。その積み重ねによって生まれる共通認識こそが、組織らしさを形づくっていきます。
人が増え、事業や組織のフェーズが変われば、判断の前提も少しずつ変わります。だからこそ、会社のOSも更新し続ける必要があります。
そのOSをアップデートする場として、Acompanyには、各部署から集まったメンバーが、会社のカルチャーについて議論を行う「カルチャー委員会」があります。その中で今回向き合ったのが、Acompanyが大切にしたい価値観を言葉にすることでした。
なぜ価値観を言葉にする必要があったのか
価値観を言葉にするというと、抽象的な取り組みに見えるかもしれません。 けれど実際には、かなり実務に近いものです。
何を評価するのか。
どんなコミュニケーションを良しとするのか。
どんな姿勢を、Acompanyらしいと考えるのか。
こうしたことは、日々の判断の中に表れます。 しかし言葉になっていないと、人によって解釈がずれたり、暗黙の了解として属人的に扱われたりしやすい。会社が成長し、異なるバックグラウンドの人が増えるほど、そのズレは見えにくい形で広がっていきます。
だからこそ必要だったのは、すでに私たちの中にある気質や大事にしたい感覚を、みんなで参照できる形にすること。 「なんとなく共有されているもの」を曖昧なままにせず、日々の判断に使える言葉へと落とし込むことが、この取り組みの本質でした。
言葉はどう磨かれていったのか
もちろん、最初からきれいにまとまっていたわけではありません。
まず、メンバー各自が大切にしたい価値観の候補を持ち寄り、優先順位をつけ、言葉の意味を掘り下げながら、Acompanyらしい表現へと少しずつ磨いていきました。
このプロセスで印象的だったのは、表面的にはシンプルな言葉ほど、背景にある意味を丁寧に議論する必要があったことです。
たとえば、「当たり前」という言葉が候補にありました。 一見わかりやすい言葉ですが、何を当たり前とするかは人によって異なり、その優先順位も状況やミッションによって変わります。だからこそ、聞き馴染みのある言葉をそのまま置くのではなく、伝えたい意味が正しく届く表現を選ぶ必要がありました。
同じように、「厳しいフィードバック」も、そのままだと指摘すること自体が目的に見えてしまいます。 伝えたかったのは、必要な違和感を言えないことで意思決定が遅れ、進められるはずのことが止まってしまうという課題に対し、全体最適の視点で勇気を持って、必要なフィードバックをする。その行動まで伝わる言葉にする必要がありました。
言葉の強さやキャッチーさよりも、その言葉がどんな行動につながり、どんな判断を支えるのかを見ながら、慎重に言葉を選びました。
最終的に、Acompanyが大切にしたい18の価値観にまとまり、カルチャー委員会としての活動は一つの区切りを迎えました。
ただ、言葉が決まっただけでは、まだ会社の中で使われる状態にはなっていません。
むしろここからが、コミュニケーションデザイナーとしての私の役割です。
私は普段、社内外に向けたコミュニケーションの設計や、会社の思想・取り組みを正しく伝えるための言語化、編集、発信を担っています。
今回の取り組みでは、カルチャー委員会で生まれた言葉をただ整えるのではなく、その背景にある意図や議論の熱量を汲み取り、それぞれの価値観が日々の判断や行動の中で参照されるよう、「Acompany Vector」として一つのハンドブックにまとめることになりました。
決まった言葉を、正しく伝わる形にする
Acompanyには、BHAG、Purpose、Valueといった大事な思想の軸があります。今回言葉になった「大切にしたい価値観」を、それらと切り離された別のものとして置くのではなく、会社全体の思想とどうつながっているのかを可視化する必要がありました。
もうひとつ大きかったのは、それぞれの価値観を一段階具体に落とし込む言語化です。
これは、想像以上に慎重さが必要な作業でした。使う単語や言葉の並びが少し変わるだけで、伝えたいニュアンスとずれてしまうことがあります。どんな行動を指しているのかを具体例で示した方が伝わりやすい一方で、例を出すことで行動を限定しすぎてしまわないかも考える必要がありました。
時間をかけたのは、単に文章を整えるためではありません。委員会で交わされていた議論の熱量や、そこに込められたみんなの考えを引き継いでいたからです。自分の解釈だけで書き換えてしまわないように、議論の内容を一つずつ振り返りながら、言葉に落とし込んでいきました。
また、ブックとしてのデザインアウトプットについても、最初は私が形にする想定でした。ただ、言葉を整理することと、それを高いクオリティでビジュアルに落とし込むことは、別の専門性です。
私が無理に作ることで、せっかくの言葉や議論の価値を十分に伝えきれない状態にはしたくありませんでした。そこで、コーポレートデザインを担当しているありさんに、一緒に形にしてもらいました。
ありさんは、Acompanyらしさを形にするうえで、社内から厚い信頼を寄せられている存在です。だからこそ、この言葉たちを届けるためのデザインは、ありさんにお願いするのが最適だと考えました。
言葉を正しく伝えるためには、文章だけでなく、どう見せるかも重要です。
それぞれの専門性を活かしながら、最もよい形で届けることも、この取り組みで大切にしていたことでした。
カルチャーを、日々の判断に実装する
価値観は、「Acompany Vector」としてまとまっただけでは意味を持ちません。 会社の中で使われて初めて、カルチャーとして機能するものだと思っています。
たとえば、採用でどんな人を迎えたいのか。 評価でどんな行動を良しとするのか。 フィードバックをどう返すのか。 日々の意思決定で、何を大切にするのか。
そうした場面で参照される状態になってはじめて、その言葉は会社の中で生きていきます。
一方で、価値観は細かいルールとして人の行動を縛るものではありません。 すべての状況に対して正解を決めるのではなく、迷ったときに立ち返れる共通言語として機能することが大切です。
Acompanyらしい判断や行動を、誰かの感覚だけに依存させない。 でも、一人ひとりが自分で考え、状況に応じて判断する余白は残す。
この「Acompany Vector」は、判断が揺れたときに思考を再起動し、Acompanyらしい考え方に立ち戻るための参照点となる存在です。
今回の取り組みは、これまで積み重ねてきたカルチャーを、整えて形にし、組織の動き方に実装していくためのものです。
これからも、Acompanyのカルチャーが日々の判断や行動の中で機能し続けるよう、実装とアップデートを重ねていきます。
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