Acompanyで働く意義とチャンス

公開日:2026.05.01

株式会社Acompany執行役員VP of Public Affairs 兼 VP of Strategic Allianceの竹之内です。

私はこれまで、NEC、デジタルガレージ、そしてLINE(現LINEヤフー)において、20年近く匿名化や秘密計算などのプライバシー保護技術の研究開発および事業開発に従事し、特に技術と法制度の橋渡しを行う活動(Public Affairs)を進めてきました。そして、2年前にAcompanyに転職し、今はPublic Affairsや事業開発・事業連携の活動をしています。

この記事では、私がスタートアップであるAcompanyに転職し、そして今も働いている理由である「社会的意義」を、業界全体の視点も交えて説明したいと思います。

いわゆるIT系の業界の構図と、直視すべき現実

年代的に気に入っているので「IT系」という言葉をあえて使いますが、いわゆるIT系は「規模の経済性」が効きやすい業界です。そしてAI時代を迎え、データが益々重要になるにつれ、この傾向は強くなると言われています。

私が講演などで好んで使うスライドの一つに、「Personal data is the new oil」と言われていた15年ほど前と現在の、世界時価総額ランキングの推移があります。

時価総額ランキングの変化(青がoil系、赤がデータを持っている企業。著者の主観で分類)

このランキングを見ると、確かにデータを持つ企業が上位に位置しているように見えます。また、トップとそれ以外の企業価値の差は広がり、数年前はトップ4社程度で日本企業全体の時価総額を超えていましたが、今は2社程度で超えます。

つまり、この分野は少数の「グローバル大企業」と、それ以外の「中小企業」のような形と捉えています。

参考までに、私の前職であるLINEヤフーの経営統合時の発表資料(2019年)は、まさに私の危機感と同じでした。

当時私は、スライド内の数字が表で記載されていることを不思議に思い、Excelで自らグラフを描画してみました。すると、Excelはグラフに1ドットも色を付けてくれませんでした。「日本でプラットフォーマーと認識されている企業の研究開発費は、グローバル基準からすると……」と突きつけられているようで正直凹みましたが、これこそが我々が直視すべき現実です。

スタートアップへの期待

しかし、当然「諸行無常」「盛者必衰」の言葉通り、産業構造は永遠ではありません。この分野では、常にスタートアップが果敢に新たな産業を作り出し、今もAI関連企業が急成長を遂げています。また、大企業がスタートアップを買収し、より大きな価値を提供していくケースも多くあります。つまり、よく言われている通り、この分野は、大企業とスタートアップの両者が存在するエコシステムが一定うまく回っている産業の形と言えるでしょう。

しかし、ご存知の通り、日本はグローバルと比較してスタートアップが少ないのが現実であり、政府も後押しをしています。我が国の産業の視点に立てば、日本のスタートアップに関わることは、国全体にとって間違いなくプラスであると私は考えています。そしてスタートアップは、株主の皆様からリスクマネーを預かり、大きなリターンをお返しすることが期待される存在です。だからこそ、国内市場に留まらず、グローバル市場も狙うのが望ましいとも言えます。

私が今日もAcompanyで働く3つの理由

このような一定の課題意識を持つ私が、今日もAcompanyで働く理由は以下の3つです。

1. Confidential Computingの時代

私は20年近く、匿名化や秘密計算といったプライバシー保護技術の分野で活動し、博士論文でも「匿名化と秘密計算(MPC、Multi-Party Computation)の組み合わせ」をテーマにしてきました。そして、研究開発・事業開発を進める中で、価値を社会に届けるためには「法制度」も重要であることに気づき、政策提言などの活動を行い、2年前にAcompanyに入社しました。

-プライバシーの技術と法制度をやってきた人間のスタートアップ転職

-【Why Now Acompanyシリーズ:ロビイング領域編】政策でも注目されるConfidential Computing

-PETsによる「Verifiable Trust」の実現

そして市場環境としては、2024年6月にApple IntelligenceがTEEを用いたConfidential Computing(ハードウェア型の秘密計算)を採用したことで、CCが一段と注目される様になりました。

-iPhone16も使う「GPUの秘密計算」 AI時代のデータ保護

ガートナーの予測では、2029年までに信頼されていないインフラでの処理の75%がCCによって保護されると言われています。また、 IDCの調査によればすでに2025年6月時点で、18%の企業が導入、57%が実証中と、急速に導入が進んでいます。これは、EUの金融分野の規制(DORA)も理由となっています。

そして、今年3月のNVIDIA GTC 2026のkeynoteでのNVIDIA CEO Jensen Huang 氏の発言です。このKeynoteは、ご覧になった方も多いと思いますが、Confidential ComputingがNVIDIA AI Platformの中央に配置されています。

NVIDIA GTC 2026 keynote(27分頃)

そして、Jensen氏は「Confidential Computing is super important」(Confidential Computingは極めて重要だ)と紹介しました。これは、今までは主にセキュリティ・プライバシー分野から注目されていた技術が、完全にAI分野から注目される技術となった瞬間です。このKeynoteはAI関係の技術者だけでなく経営者も見ているので、このインパクトは絶大です。

20年近くプライバシー保護関係の技術分野に携わってきましたが、今、間違いなく最大のチャンスが来ています

2. Acompanyの良好なポジション

Acompanyは元々はMPCという技術で活動していましたが、世界の技術潮流を見据え、現在は完全にCC(Confidential Computing)へ軸足を振り切っています。しかも、難易度の高いAI向けのCCの技術・事例・アプリケーションを持つ点が特徴です。

また アジア圏で唯一のAzureパートナーとして活動しており、同様の領域に挑むグローバルの有力スタートアップとも、全く同じ目線・位置で戦えている手応えがあります。

さらに、Acompanyは基盤となるプラットフォームを提供するだけでなく、実際にユーザーが業務で使えるアプリケーションまで開発しており、これが非常に好評を得ています。 導入実績としてもグローバルで最大規模を誇っており、Fortune Global 500に名を連ねる企業への導入など、十分にグローバル市場を狙える位置にいます

3. 制度的な後押し

そして今、私が携わっているPublic Affairsの領域でも大きな追い風が吹いています。 現在行われている個人情報保護法の改正議論において、CCを含むPETs(プライバシー強化技術)が話題となっています。また、サイバー攻撃が激化する中、金融分野や医療分野などの重要インフラにおいても、処理中のデータ暗号化が本格的に求められる時代になりつつあります。

このようなルールメイクの場において、Acompanyが携わっているプライバシーテック協会の存在感は非常に高まっています。また、AcompanyはConfidential Computing Consortiumを通じて海外との連携も強めています。産官学が連携し、新たな技術に適したルールを作り上げることが、結果として新たな産業を生み出す原動力になります。

共に挑戦していきましょう

国内市場にフォーカスする戦略ももちろん意義深いですが、Acompanyはグローバルでの大きな市場に果敢に挑戦していきます。この分野は、国内でパイを奪い合う「内戦」をしている場合ではなく、グローバルの競合と切磋琢磨し、世界で競争していくことこそが重要だと私は考えています。

先ほどグローバルへのチャンスがあると書きましたが、当然その挑戦は容易ではなく、出来ない理由はいくらでも挙げることができます。 しかし私は、最初から諦めて実行しないスタンスはありえなく、たとえ数年後にどんな結果が出ていようとも、「少なくとも私はあの時挑戦したよ」と胸を張って言いたいと思い、活動しています。しかも、特に最近の動向からすると「もしかしたら、もしかするかも」という感触を持っています。

挑戦者に投げるべきは、石ではなく、エールです。是非皆さんと連携させてください。

共に挑戦したいと思える方は、よければ一緒に!

付録:NVIDIA GTC 2026 keynoteでのConfidential Computing関係の発言部分の抜粋

参考に、NVIDIA GTC 2026のKeynoteでの発言を、公式サイトのスクリプトから抜粋します。このCCによって、AIモデルやAIへの入力を保護できることを紹介し、その重要性を説明しています。

One of the capabilities that we offer is Confidential Computing. That in Confidential Computing, you want to make sure that even the operator cannot see your data. Even the operator cannot touch or see your models. Confidential Computing, NVIDIA's GPUs is the first ones in the world to do that. It's now able to support Confidential Computing and protected deployment of these very valuable OpenAI models and Anthropic models throughout clouds and different regions and all because of our Confidential Computing. Confidential Computing is super important.

(参考翻訳) 私たちが提供している機能の一つが、Confidential Computingです。 Confidential Computingによって、運用者があなたのデータを閲覧することを防げます。つまり、たとえ運用者であっても、データやモデルに触れたり閲覧することは、できないのです。 そして、NVIDIAのGPUは、これを実現する(GPUとして)世界初の取り組みです。現在では、Confidential Computingをサポートし、OpenAIやAnthropicのような非常に価値の高いAIモデルを、クラウドやさまざまな地域において保護された形で展開することが可能になっています。これらはすべて、私たちのConfidential Computingによって実現されています。 Confidential Computingは、極めて重要です。

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WRITER

Takao Takenouchi

Acompany / 執行役員VP of Public Affairs

技術と法律の橋渡しをするパブリック・アフェアーズ活動や、新規事業開発・事業連携などを担当

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