創業8年で実感した、人と文化と覚悟

公開日:2026.06.26

秘密を守れる「Confidential AI」を開発するAcompany(アカンパニー)代表の高橋です。

2026年6月20日で、Acompanyを創業してから8年となりました。起業してから本当に目まぐるしい日々で、もう8年も経ったのかと驚いています。Acompanyという会社は私が名古屋大学在籍時に起業しており、社会人経験を経ずにスタートした会社です。

それでもこの8年間でたくさんの頼もしい仲間と市場機会に恵まれたおかげで、コンフィデンシャルコンピューティングを中心とした領域で市場を牽引する会社へと成長しています。仲間と市場の両面から素晴らしい機会に恵まれたことで、個人としても大きく成長できた8年間でした。

本ブログではこの8年間を振り返り、「3つの学び」について書いていきたいと思います。

最後ではなく最初から人

「誰をバスに乗せるのか」という問い。これは「ビジョナリー・カンパニー」や「Amp It Up」などの名著で最も重要な論点として語られていますし、私自身もそう信じています。この8年間を振り返って、本当に様々な出来事がありましたが、そのドライバーは常に“人”です。「この人がいなければ、この結果はないな」という出来事が本当にたくさんありました。

もしかしたらこの感覚を不思議に思う人もいるかもしれません。誰がやってもそれなりに同じ結果になるのでは?と。確かに、普段の仕事の多くはそうかもしれません。当然、仕組み化された仕事では、誰が担っても一定の成果が出る状態をつくることが重要です。

しかし、「この人がいなければ」という結果は、明確に非連続で、周りが驚くような、圧倒的なものです。そのような結果の積み重ねが普通の会社を「特別な会社」にするのだと思います。

この水準を狙っていくということは、自ずとそれを狙えるような”人”の存在が不可欠です。スタートアップ、特に技術系スタートアップのような難易度が高い領域においては、何をやるかも重要ではありますが、誰がやるかのほうがはるかに重要だと確信しています。

具体的な例としては、弊社の取り組む領域で15年以上の経験を積み、国の有識者委員なども務める政策担当者や国内のトップ技術者がAcompanyには在籍しています。こうしたメンバーは法律を変える動きやグローバル最先端の技術開発を実現しており、他社では成し得ないような結果を生んでいます。

だから、採用には強くこだわっています。それと同時に、そのような卓越した人が数多ある選択肢の中でAcompanyが選ばれる会社であり続ける努力も常に意識しています。

文化は競争力そのもの

人の次の観点は文化(カルチャー)です。創業初期からAcompanyではカルチャーを強く意識して経営してきました。厳密に言えば、当初からカルチャーという言葉で捉えていたわけではありませんが、いかに会社として卓越した結果を出せるか、という問いの中で共通の価値基準や目標設定について思考を巡らせていたというのが正しいかもしれません。

例えば、「Be Cool」「Be Hacker」というバリューは創業して1年の時期に作成しています。このバリューが創業1年目から7年間変わっていないのは、ただの標語ではなく実際の行動から言語化した内容であるからだと思います。

カルチャーについてはベン・ホロウィッツの『Who You Are』で定義されている「あなたがその場にいないときに、会社がどのように意思決定するか」という考え方をベースにしています。従業員が共有された前提や信念をどう認識し、それに基づいてどう意思決定し行動するかが重要であり、リーダーが明示的に語ることだけではなく、自らの行動や組織のインセンティブ構造を通じて暗黙的に生まれる行動がカルチャーであるという考え方です。

Acompanyでは野心的な目標を達成するためにいかに競争に勝っていくかという観点で思考と行動と改善を繰り返してきました。現在、この過程で生まれた考えは「Acompany Vector」として整理して公開しています。

積み上げてきたカルチャーは、組織の強度を高めるという本来の目的に加えて、現在のAcompanyにおいては採用における競争力の一つにもなっています。上記のようなスライドに共感しているからという理由ではなく、採用プロセスでAcompanyメンバーとの実際の会話を通じて、ただの標語ではなく行動の共通基準になっていると実感していただき、候補者にとって明確な「Why Acompany」の一つの軸になっています。

誰かではなく、自分で基準を上げる

会社の成長に伴い、さらなる成長のために求められる基準は上がっていきます。一方で、組織の基準は自然に上がっていくということはありません。誰かが基準を上げる必要があります。

ここでいう「基準を上げる」とは、単に要求を厳しくすることではありません。事業ステージに合わせて、意思決定の質、実行速度、責任の持ち方、プロダクトへの要求水準を引き上げていくことです。

基準を上げることは簡単ではありません。すでに組織の当たり前になっている状況や基準を変えることで、変化を強いられ不都合が生じる人がいれば、反発も生まれ得ます。なので、基準を上げることには、相当な覚悟が必要です。また組織の構造上の難しさが存在することもあります。しかしながら、局所最適が全体最適に勝ることはありません。

だから、組織の基準を上げる役割を担う最適者は社長だと思います。トップが覚悟を持って、あるべき姿に向けてコミットしなければ、抜本的な基準の変化は難しいと思います。

一時話題となった「ファウンダーモード」は、その一例だと思います。ここでは詳細は省きますが、私自身も、CEOとしてだけでなく、プロダクト責任者(CPO)や事業責任者(COO)の役割も担い、現場に入りながら事業成長の実現にコミットしてきました。頼もしい仲間に支えられた結果もあり、1年前では考えられないような事業ステージに歩みを進められていると思います。

ただし、トップだけが基準を上げる会社にしたいわけではありません。各領域で、自分の持ち場から基準を上げていく人が増えるほど、会社は強くなります。自分自身がコミットした上で、同じように基準を上げる側の人がいれば、その人は本当に大切にすべき人だと思います。「Acompanyは、基準を上げていく人を評価します」と明確にしています。

さいごに

今回紹介していないことも含め、改めて振り返り重要だなと思った内容は、たくさんの書籍でも言及されていることばかりだなと思いました。しかし、実際に経験をしてみると、本を読んだときには気が付かなかった手触りというか、重みのようなものがありました。やはり、何事も机上論ではなく、経験してみることでしか得られないものがありますね。

この人、文化、基準を土台に、Acompanyは「秘密を守れるAI」という技術的にも事業的にも面白い領域で、Acompanyでなければ実現できないような非連続な未来を形にしていきます。Acompanyは非常に面白い会社になっていると思います。毎年そう思っていますが、今年も本当です。

高い基準でプロダクトをつくりたい人、まだ存在しない市場をつくることにワクワクする人、技術と事業の両面から大きな課題に向き合いたい人にとって、非常に面白いフェーズだと思います。研究者もエンジニアもビジネスサイドも大募集中です。ぜひ一緒に働きましょう!

Ryosuke Takahashi のプロフィール画像

WRITER

Ryosuke Takahashi

Acompany / 代表取締役 CEO

CEOとしてAcompanyの経営全般を担う

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