大企業を辞めて、大企業をつくる ー 勝つためのカルチャーをつくり続けるために

公開日:2026.05.01


※この記事は『2025年5月20日』に公開した内容をもとに掲載しています。


Acompanyで執行役員VP of Corporateを務めている嵯峨﨑(サガサキ)です。Acompanyは2025年5月、シリーズBラウンドにて11億円の資金調達を発表しました。

-Acompany、SBIインベストメントとグロービス・キャピタル・パートナーズ等を引受先とする第三者割当増資により、総額11億円の資金調達を実施

私は現在、バックオフィスの責任者として総務、経理、財務、人事、労務、コーポレート法務の統括をしています。しかし、2年ほど前まではメガバンクで安定したキャリア、ごく一般的な銀行員生活を歩んでいました。そんな私があえてその安定を手放し、スタートアップの世界に飛び込んだのは、銀行の中で感じていたモヤモヤを解消し、次なる成長を目指したかったからです。

-10年勤めたメガバンクを退職して、25人のスタートアップに転職した話

なぜ安定した大企業のポジションを手放してまで、Acompanyを選んだのか——。それは、すでに完成された大企業で働くよりも、変化が大きく、裁量があり、チャレンジできる環境にワクワクを感じたからです。安定を捨てるリスク以上に、会社を大きくし、新しい組織やカルチャーを築き上げることで得られる経験や成長、そして達成感に魅力を感じたからです。

現在は、コーポレート部門を通じて会社全体の成長を後押しすべく、組織づくりとカルチャー醸成に日々取り組んでいます。今日は、私が考えるカルチャーや組織づくりについてお話ししたいと思います。

なぜ、カルチャーなのか

カルチャーという言葉は、便利なようで曖昧な言葉です。理念のようでもあり、ルールのようでもあり、雰囲気のようにも感じられます。
私個人としては「カルチャー」とは「その組織の人がどう考え、どう行動するかを決める、無言の前提」だと思っています。
この“前提”が共有されていれば、大きな変化の中でもブレずに、組織は強くあり続けられると思いますし、逆に、この前提がバラバラであれば、どんなに一時的な成果が出ていたとしても、組織は脆くなってしまいます。
つまり、カルチャーは、意思決定に先立つ土台なのです。

どれだけコアな技術があり、魅力的な市場があったとしても、それを実行する"ヒト"がいないとビジネスは進みません。最終的には「誰がやるか」に行き着くと私は考えています。そして、その“ヒト”が集まってできるのが組織であり、その組織の共通言語こそが、「カルチャー」だと思っています。

よく「Acompanyはカルチャーが良さそう」「働きやすそう」と言っていただくことがあります。それ自体はとてもありがたいことですし、外からそのように見えていることに感謝しています。一方で、シリーズBラウンドを終えた今、私たちはまさに現在進行形で、より良いカルチャーを模索しながら走っている真っ最中です。
そして、あらためて実感しているのは、カルチャーや組織は自然には生まれないということです。しっかりと意志を持って設計し、育て、守り、継続していかなければならない。カルチャーとは、つくるもの。育てるもの。そして、また変化に合わせて作り続けるものだと感じています。

Acompanyの特異点

冒頭でもお伝えしたとおり、先日、シリーズBラウンドの資金調達を完了しました。今回の調達では、これまで取り組んできたプライバシーテック領域に加え、ハードウェア型秘密計算、Confidential Computingの技術についてご評価いただけたものだと感じています。
ただし、評価されたのは技術そのものだけではありません。むしろ、それをいかにして事業として成立させるかという観点において、Acompanyの特異点、「技術」「法律」「事業(ビジネス)」の三位一体のコラボレーションが高く評価されたのだと思っています。

コラボレーションするカルチャー

Acompanyにご相談いただく企業様のお悩みは、単一の専門領域だけでは解決できないことがほとんどです。技術の進歩は加速し、市場ニーズは日々変化し、加えて複雑な法規制や政策動向への対応も求められるこの領域では、「技術」「法律」「事業(ビジネス)」という異なる3つの領域が緊密に連携し、多角的な視点から課題解決に取り組む必要があります。

さらに、私たちはスタートアップです。限られたリソースの中で、迅速かつ効率的に成果を出すことが常に求められます。だからこそ、各領域のプロフェッショナルが専門性の壁を越えてスムーズに情報共有し、協力し合える関係が不可欠です。

Acompanyでは、このような異なる領域の連携=コラボレーションが事業特性として自然に根付いており、むしろ“当たり前”として日々機能しています。そのコラボレーションがあるからこそ、組織内の信頼関係が深まり、互いを尊重するカルチャーが育まれているのだと思っています。

このあたりはコーポレートサイト「事業視点のAcompanyをご覧いただけると幸いです。

クロスドメイン・チーム

勝つためのカルチャー 「厳しさ」と「信頼」の両立 

「厳しさ」とは

Acompanyが目指すカルチャーや組織づくりは、メンバー同士が互いを「信頼」し合いながらも、プロフェッショナルとして成果を追求する「厳しさ」を両立させることです。
Acompanyは、いい雰囲気の仲良しクラブではありません。私たちは、お客様に適切な価値を提供するために集まっているプロフェッショナル集団です。だからこそ、時には組織内で厳しい判断が求められることがあります。

最近、代表の高橋がよくプロ野球の話をします。プロでスタメンを張っている野球選手が「今日は調子が悪いから打てない」、「あいつとは反りが合わないからやる気が出ない」という言い訳をするでしょうか。大なり小なりそう言ったことはあるのかもしれませんが、プロとして報酬を受け取っている以上、与えられた役割を果たすべきです。

冒頭に、カルチャーは「その組織の人がどう考え、どう行動するかを決める、無言の前提」だととお伝えしました。
その組織、Acompany自体は、勝つ※ために存在しています。

※ここでの勝つというのは「社会的インパクトを与えること」、「マーケットにおけるポジションを確立すること」などを意味したもので、
・「信頼」を前提としたデータ・AI活用の標準を社会に広げること
・日本や世界において、安心してデータを活用できる環境を築くこと
・“Acompanyがなければ成り立たない”と感じさせる基盤を提供すること
とします。

プロ野球でも、監督が勝つために厳しい判断を下す場面があります。緊迫した場面での戦術変更や選手の起用など、勝利を目指すには、時に情に流されない冷静な判断が求められます。
僕たちの組織も、同じように覚悟を持って決断を下さなければならない局面があります。成果を上げられないメンバーに対して厳しい評価をし、役割を変える必要が出てきます。これは決して感情的なものではなく、「勝つために必要な選択」(Acompanyの行動指針にもある「ヒトではなく、コトに向き合う」)です。

メンバー一人ひとりのパフォーマンスや成果を冷静に見極め、必要であれば率直かつ厳しいフィードバックを行う。それこそが、最終的に組織全体の成果を最大化するための鍵だと信じています。「コトに向き合う」ことは、ときに苦しく、勇気のいる判断を伴いますが、その積み重ねこそが、組織を本質的に強くしていく原動力になります。

「信頼」とは

上記のような「厳しさ」は、信頼関係があってこそ成立すると私は考えています。「厳しさを受け入れられる信頼」があってこそ、心理的安全性は生まれます。その信頼があれば、誰もが率直に意見を述べ、建設的なフィードバックを行い、失敗を恐れずに挑戦できます。
質問や疑問、失敗の共有もスムーズに、ためらいなくコミュニケーションできる環境は、組織の学習力を加速させる土壌にもなります。

前述のコラボレーションするカルチャーで触れましたが、「信頼」も技術、法律、事業(ビジネス)の各領域がスムーズかつ効果的に連携するために必要不可欠です。お互いを「尊重(リスペクト)」し、「信頼(トラスト)」し、支え合いながら、遠慮なく高め合う関係性が、Acompanyらしいコラボレーションを支えています。

そして、私個人が「信頼」や心理的安全性で何より大切だと思っているのが、他人の成果や行動を素直に喜び、称賛することです。これは一見シンプルな行動に見えますが、実は「信頼の土台」を強くする、非常に大きな力を持っています。

人は誰しも、自分の努力や成果が認められることに喜びを感じますし、誰かが心から喜んでくれることで、「このチームで頑張ってよかった」、「ここに自分の居場所がある」と感じることができます。それが心理的安全性を高め、また「次も挑戦しよう」と前向きなエネルギーにつながっていきます。
さらに、他人の成功を素直に喜べる、称賛できるチームでは、嫉妬や疑心暗鬼が生まれにくく、健全な競争と協力(コラボレーション)が自然に進んでいきます。

称賛は、「甘やかし」や「ぬるさ」と誤解されることもありますが、むしろ厳しさと表裏一体の健全で、建設的なフィードバックの一部だと思っています。成果を称え合うことは、チームにとって「何が良い行動であるか」「どんな価値観を大切にしているのか」を言語化し、共有する機会にもなります。それは組織のカルチャーそのものを形づくっていく行為そのものだと思っています。

もしここまで読んでくださった方がいたら、ぜひ、今日PCを閉じる前にチームの誰かに「ありがとう」「すごいね」と声をかけてみてください。その小さなアクションが、チームを少し前進させると思います。

と、偉そうに書いてきましたが、ここに書いたような「勝つためのカルチャー」、「厳しさ」と「信頼」の両立は、Acompanyでもまだ道半ばです。

今回の調達にあわせ、「Trust. Data. AI. あらゆるデータとAI活用に、信頼を。」というミッションを掲げましたが、組織やカルチャーにおいても同じように“Trust”が大切だと、日々実感しています。Acompanyは、メンバー同士が高い信頼関係を築けるよう、組織づくりを頑張っていきたいと思っています。
「信頼」と「厳しさ」を両輪に、組織の推進力を最大化し、次のステージへと加速していくAcompanyにご期待ください。

カルチャーは“言語化”だけでは育たない

「厳しさ」と「信頼」を両立させたカルチャーについて、大それたコンセプトや美辞麗句を掲げるだけでは、意味がないと思っています。日常で使われたり、言いたくなるような言葉に言語化にしないと社内浸透は難しいです。

ちょうど先日投稿されたCARTA HOLDINGS 宇佐美社長のnoteがまさにその内容でしたので、ここで引用させていただきます。

-サイバーエージェント藤田社長を横で見ていて「すごいな」と思ったこと

⑤制度のネーミングにこだわる
〜略〜
ポイントは「言いたくなる」言葉かどうか、です。
制度はその中身も当然大切なのですが、それよりも重要なのが「浸透する」ことです。「言いたくなるような言葉」になっていると、自然と広まっていきます。

出典:サイバーエージェント藤田社長を横で見ていて「すごいな」と思ったこと

どれだけ立派なカルチャーの題目を掲げたとしても、本当に大事なのは「それが日常に宿っているかどうか」だと、私は思っています。信頼貯金や信頼残高という言葉があるように、信頼関係は一朝一夕では構築できません。だからこそ、"普段からそこ(日常)にあるもの"かどうかはとても大事です。

「成果を称えるとき、どんな観点で、どんな言葉で褒めているか」
「会議中の違和感をどう表現しているか」
「1on1などでのフィードバックでどのような言葉が使われているか」
「それってAcompanyっぽい?」などの日々のふるまいこそ、カルチャーをつくると思っています。

今後、Acompanyの事業はさらに成長し、組織の規模も大きくなっていくはずです。部や部門が増え、より多様なメンバーが加わってくる中で、スタートアップらしい変化を歓迎しつつも、組織としてのカルチャーは妥協はしたくないと思っています。

カルチャーを伝播させるのは「ヒト」です。その「ヒト」が集まって組織ができています。カルチャーを守るだけではなく、育て、変化にあわせてつくり続けていくことこそが、Acompanyの挑戦です。

最後に

私は現在「大企業を辞めて、大企業をつくる」挑戦をしています。
それは単に「Acompanyを上場させて、大企業に育てよう」という話にとどまりません。未来に残るカルチャーを、自分たちの手でつくる挑戦だと思っています。

よく「メガバンクから転職してスタートアップに入るなんてよく決断できましたね、すごい」と言われることがあります。ありがたい言葉ですが、正直なところ、現時点で私は何かを成し遂げたわけではありません。
そしてAcompanyもまた、BHAG(Big Hairy Audacious Goals:社運を賭けた大胆な目標)を達成したわけではありません。シリーズBラウンドを終えたばかりの、まさにこれからのスタートアップです。
この決断、この資金調達を「意味のあるもの」にできるかどうかは、これからの私たち次第です。

Acompanyを一緒に支え、大きく育て、勝つためにプロフェッショナルとして挑戦してくれる「ヒト」を探しています。

Acompanyというチームの一員として、未来に残るカルチャーを一緒につくっていきましょう!!!

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WRITER

Hayata Sagasaki

Acompany / 執行役員 VP of Corporate

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