守りができない人に攻めはできない

公開日:2026.05.01


※この記事は『2025年12月1日』に公開した内容をもとに掲載しています。


執行役員VP of Corporate(バックオフィスの責任者)を務めていますサガサキです。

Acompanyは10月が決算期末でした。バックオフィス観点では、期末なので月内に色々なものの申請や精算を終わらせることが大事です。今日はそちらに関連して、普段から思っている、「決められた、やるべきことをしっかりとやる」ということについて書きたいと思います。

まず・・・

普段仕事をしているなかで、「あの人にお願いした仕事の期限、超えているな」や「あの人全然ルール守ってくれないな」と思ったことはありませんか。または、会社のルールや手続きがきちんと踏まれておらず、後から問題になったことはありませんか。

個人的には、こうした「守り」の部分がおろそかになっている人は、実は「攻め」の仕事でも成果を出しにくいと思っています。しかし、「守り」ばかりに徹していても、大きな成果は得られないのが難しいところです。
なぜ「守り」ができない人に「攻め」はできないのか、そして「守り」を固めた上で「攻める」ことがなぜ大事なのか、個人的に思うことを書いていきます。

「守り」とは?

守りとはなんでしょうか(ここから 守り に「」は外します)。

守りとは、簡単に言えば「信頼の土台を作る基本動作」だと考えています。
具体的には以下のようなことです。

・時間、約束を守る
 -締切・納期を守る
 -遅刻しない

・手続き・ルールを守る
 -社内の承認フローを正しく踏む
 -法律、会社のルールに従う
 -コンプライアンスを遵守する

・報告・連絡・相談(ホウレンソウ)ができる
 
-進捗状況を適切なタイミングで報告、連絡する
 -判断に迷ったら相談する
 -関係者に必要な情報を共有する

・正確性を保つ
 -データや数字を間違えない
 -誤字脱字をしないようにする

なぜこれが守りなのか

これらは一見地味で、当たり前のことと思われがちです。そして、直接的に売上や利益を生むわけではありません。
しかし、これができていないと、

・トラブルが起きる
・余計な手間が発生する
・チーム全体の足を引っ張る
信頼を失う → 次の仕事が回ってこない

状態になり、反対にこれができていれば、

・トラブルが未然に防げる
・スムーズに仕事が進む
「この人に任せれば安心」と信頼される → より大きな仕事を任される

つまり、守りとはリスクを減らし、信頼を積み上げることにつながるのです。

なんだ、そんなしょうもないことかと思ったあなた。そうなんです、しょうもないこと、当たり前のことかもしれません。
ですが、そのしょうもないことが、できているか・できていないかが大きな差となります。基本的なこと、当たり前のことを徹底できているかどうかで、信頼は大きく変わります。そして、その信頼の積み重ねこそが、次の大きな仕事につながるチャンスを生み出していきます。

当たり前のことを当たり前にする、それがなぜ難しいのか

「当たり前のことを当たり前にやる」。まさに、言うのは易し、行うは難しの典型例です。多くの人は「当たり前のこと」を軽視しがちです。
もっと刺激的なこと、もっと目立つこと、もっと成果が見えやすいことに意識がいき、それを成し遂げることに夢中になってしまいます。その結果、当たり前のことや基本がおろそかになり、いざというときに足元をすくわれてしまいます。

現実は、当たり前のことを当たり前にする、それをやるだけで差がつきます。期限を守る人と守らない人、報告をきちんとする人としない人。この差は、短期的には小さく見えても、長期的には大きな信頼の差となって現れます。

私はコーポレート部門を運営するにあたり、メンバーのみんなに意識してもらいたいこととして、「当たり前のレベルを上げる」ということを伝えています。当たり前のことは当たり前にやった上で、そのレベル・基準を上げていこうという意味です。

「ユーモアは忘れない」は、いつもメンバーにやめましょうと言われるスローガン

守りをすることは、信頼を獲得すること

私が銀行員時代に学んだことがあります。それは、事務手続きを知っている人、期日どおりに内部業務をしっかりやる人が信頼されるということです。

銀行という組織は、ミスが許されない世界です。一つの手続きミスが大きな損失につながることもありますし、何よりお客さまにご迷惑をおかけすることになるからです。だからこそ、地道に事務手続きを学び、経験し、ルールを守り、安定した仕事をする人が評価されると思っています(もちろん、それに加え、与えられた目標を達成することがとても大事です)。

これはどんな業界でも同じではないかと思っています。
守りをしっかりやる人は、周囲から「この人に任せておけば安心だ」と思われます。そして、そう思われた人には信頼がおけるとして、自然と新しい仕事が舞い込んでくるのです。
また、そういった信頼はピンチの時にも自分を助けてくれます。時間的にタイトな事務手続きや難易度の高い案件など、周りのサポートなしには突破できないような場面も、普段から信頼を積み上げておけば、「いつもしっかりやっている○○さんになら、協力してあげよう、応援しよう」という気持ちになり、援護射撃をしてくれます。

1人では成果は上げられない

ビジネスにおいて、1人だけで成果を出すことはほぼ不可能です。営業担当が契約を取ってくるには、バックオフィスのサポートが必要です。企画を実現するには、現場の協力が不可欠です。

チームで成果を出すためには、人との関わりは避けられず、そのため信頼関係が不可欠です。そして、その信頼関係を築くのが守りの仕事なのです。

期日を守ることで、チームメンバーが安心して次の工程に進めます。手続きを正しく踏むことで、後工程でのトラブルを防げます。報告をきちんとすることで、上司やクライアントが適切な判断を下せます。こうした一つひとつの守りが、チーム全体のパフォーマンスを底上げし、最終的には大きな成果につながるのです。

攻撃型の人材も必要──バランスが大事

1つ付け足しておくと、必ずしも「守りから始めて攻めに移る」という順序が万人に当てはまるわけではないということです。

世の中には、最初から攻撃型で成功する人もいます。守りなど気にせず、とにかく前に突き進む。失敗を恐れず、何度も転びながらも走り続けるーーそして、その圧倒的な推進力で大きな成果を生み出す、そんな人材も確かに存在しています。
例えば、スタートアップの創業者や創業初期メンバーなどは、この(超)攻撃型のタイプが多いような気がしています。細かい手続きや期限よりも、とにかくスピードとパッションで市場を開拓する。従来のルールを飛び越えて、新しい価値を生み出す。そうした姿勢が、イノベーションを起こすこともあります。

また、営業の世界でも、「まず行動、細かいことは後から」というタイプの人が、信じられない良い成果を上げることがあります。守りの人が慎重に準備している間に、攻撃型の人は10件の商談をこなしているかもしれません。

守りと攻めのバランスが重要

結局のところ、大切なのは守りと攻めのバランスです。組織には、守りが得意な人と攻めが得意な人、両方が必要なのです。
ただし、攻めが得意な人にも最低限の守りは必要です。全く信頼されない人についてくる人はいませんし、自分で守りができない人の周りには、しっかり守りを固めてくれるパートナーがいることが多いものです。

まず守りを固める。期限を守り、手続きを踏み、基本を徹底する。信頼を築き、チームとの連携を強化する。この土台がしっかりしていれば、多少の失敗は許容されます。

そして、その土台の上で攻める。新しいアイデアを提案し、前例のないことに挑戦し、リスクを取って大胆な決断をする。守りがしっかりしているからこそ、攻めることができるのです。さらに、必要に応じてルールそのものを疑い、変えていく。守りを徹底しながらも、思考停止せず、常により良い方法を模索する。

守りだけの人は、安全だけど成長しない。攻めだけの人は、華やかだけど信頼されない。しかし、守りができた上で攻めることのできる人は、信頼も成果も両方を手に入れることができるはずです。

守るべきルール自体が間違っている場合もある

もう一つ、重要な点があります。それは、守るべきだと思われているルール自体が、実は間違っている可能性があるということです。

「手続き通りにやる」、「ルールを守る」、これは確かに大切です。しかし、そのルールが時代遅れだったり、会社の環境が変化することで、ルール自体が機能していなかったり、本質的に間違っていたりする場合もあると思います。
守りが大切だからといって、思考停止してルールに従うのではなく、時には「このルールは本当に必要なのか?」「もっと良いやり方はないのか?」と疑問を持つことも重要です。

ルールを守りつつ、ルールを変える

では、どうすればいいのか。それは、ルールを守りつつ、ルールを変えていくことです。

まず、現状のルールを理解し、守る。これは信頼を築くために必要です。しかし、その過程で「このルールはおかしい」と感じたら、声を上げる。データを集め、より良い方法を提案する。そして、ルール自体を変えていく。

ただし、ルールを変えるためには、信頼が必要です。日頃からルールを守り、実績を積み、信頼を得ている人の提案だからこそ、真剣に検討されます。逆に、普段からルールを無視している人が「ルールがおかしい」と言っても、誰も耳を貸しません。

まず守りから始める、そして攻めへ、時にはルールも変えていく

もっと成果を出したい、もっと大きな仕事を任されたいと思っているなら、まず守りをしっかりとやると良いかもしれません。期限を守れているか。報告・連絡・相談ができているか。手続きを正しく踏めているか。約束を守れているか。などなど。
こうした基本的なことを徹底するだけで、周囲からの信頼は確実に高まります。そして、その信頼が、次の大きなチャンスを引き寄せると思います。

しかし、守りだけで満足してはいけません。信頼を築いたら、その土台の上で攻めに転じましょう。新しいことに挑戦し、リスクを取り、大胆な提案をする。守りがあるからこそ、攻めることができますし、提案も受け入れられやすいと思います。

そして、もしルールが間違っていると感じたら、変える努力をしましょう。守りをしっかりやった上で、より良い方法を提案する。それが、組織を発展させていくことにつながると思います。

当たり前のことを当たり前にする。それはビジネスの足腰であり基本です。守りができない人に攻めはできない。しかし、守りだけでも成功しない。そして、間違ったルールを盲目的に守っても意味がない。守りと攻めの両方を兼ね備え、必要に応じてルールを疑い、変えていくことこそが大事です。

また、人事評価などでは目に見えやすい数字や成果を評価しがちですが、それと同じぐらい褒め称えられるべきなのは、当たり前のことを当たり前にすることだと思っていますし、そういった人をしっかり評価できるような組織を目指したいと思います。

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Hayata Sagasaki

Acompany / 執行役員 VP of Corporate

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